2011年4月のアーカイブ

(3)運用手法・スタイルをチェック!━「アクティブ運用」か「パッシブ運用」か━

主な投資対象が何かを理解したら、次に運用スタイルにも目を向けましょう。銘柄の選択方法や組み入れ比率の決定方法などはファンドや運用会社ごとに異なり、そのスタイルの違いによって、同じ投資対象であっても運用実績やリスク水準が異なってくるからです。ファンドの運用手法や運用スタイルを分類する最も基本的なものとして、「アクティブ運用」と「パッシブ運用」の区分があります。

 

アクティブ運用は、ベンチマーク(目標とする基準、日本株ファンドならばTOPIXなど、通常は対象市場の指数が用いられます)以上のパフォーマンスを目指す運用手法で、そのために投資比率の変更(売買タイミングの判断)や個別銘柄の選択を行い、その巧拙がパフォーマンスの違いにつながります。ファンドによって実績やリスクの度合いには、かなり大きなバラツキがあります。

 

一方、パッシブ運用は、平均株価などのベンチマークを定めて、それに連動した運用成果を目指すもので、追加型株式投信ではインデックス型や業種別インデックス型に分類されます。銘柄選択や売買などに関するコストがあまりかからないため、アクティブ運用と比べて信託報酬などの手数料が安いというメリットがあります。また、ベンチマークが同じファンドならば、一般的にファンドの違いによる実績やリスクの違いはあまり生じません。

 

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(2)ファンドの「商品分類」「投資の基本方針」をよく確認!

投資信託のリスク水準は、主に「投資対象は何か」と「運用スタイルはどうか」のふたつの組み合わせによって異なってきます。このうち「投資対象」には、国内株式・国内債券・外国株式・外国債券・転換社債・それらの派生商品(先物オプションなど)・REIT(不動産投信)・商品(コモディティ)などがあり、それぞれリスクの度合いは大きく異なります。

 

ファンドの投資対象をチェックするためには、まずそのファンドが属する「商品分類」を知る必要があります。追加型の株式投信はすべて、投信協会が作成した統一基準によって分類されていて、ファンドの目論見書の表示に明示されていますので、必ずチェックしましょう。

 

次に目論見書の中の「投資の基本方針」に目を通す必要があります。例えば、同じ「国内株式型の一般型」に分類されるファンドでも、国内株式の中からどのような銘柄を選択するかによって、リスク水準は異なるからです。とくに注意が必要なのは、最近増えてきている「バランス型」に属するファンドです。

 

バランス型とは、株式や債券などの複数の投資対象資産に振り分けて運用するタイプのファンドを指します。しかし、実際の投資対象は国債から外国株式、国内外のREIT、商品、ヘッジファンドなどさまざまで、それに応じてファンドごとにリスクの度合いはかなり異なるということを知っておく必要があります。

 

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TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう一直線」で震災関連のお話をしました

 

今朝、TBSラジオをキーステーションに全国31局で放送されている「生島ヒロシのおはよう一直線」に出演しました。私がお話ししたのは615分頃から10分間程度だったのですが、早朝ということもあって、出演と言っても自宅の電話で生島さんと話す内容がそのまま放送されるという形です。テーマは「東日本大震災に関する保険の動向について」というもので、地震保険を中心に、損害保険会社や生命保険会社が被災地の保険契約者の方々に対してどのような対応を取ろうとしているかについてお話ししました。

 

生島さんとは数年前に、あるセミナーで共演させて頂いたのをきっかけにお付き合いが始まりました。年下の私が言うのもおこがましいのですが、プライベートでもテレビなどで拝見してきた明るいお人柄で、独力で道を切り拓いて来られた努力家です。弊社のお客様になって頂いており、資産関係については私がアドバイスをさせて頂くのですが、プライベートでは人生の先輩として貴重なお話をたくさん聞かせて下さり、私の長男も食事をごちそうになったりしています。

 

そんな関係から、生島さんの番組にも時々出演させて頂いているのですが、今回の震災については、生島さんのご実家が被災され、ご親族で安否がまだ確認されていない方がおられるということもあって、被災された方々の生活再建に何とか協力したいという、人一倍強い思いをお持ちだということが言葉の端々からも伝わって来ました。月曜日から金曜日までは「生島ヒロシのおはよう一直線」の生放送が毎朝あるため、東京を離れるのは難しいのでしょうが、今日の番組終了後、すぐに被災地に向かわれたようです。

 

今はどうしても原発問題に目を奪われがちですが、被災者の方々にとっては、生活の再建というたいへんな問題が存在しています。長くて困難な道となるでしょう。私たち一人ひとりが「被災された方々の気持ちになって考え、行動する」ことが本当に必要だと思います。できることは限られると思いますが、弊社も個人の資産を守るスペシャリストとして、被災された方々のご相談に真摯に対応して参りたいと考えています。

個人投資家がポートフォリオ運用を行おうとするときに、たいへん役立ってくれる商品が

投資信託です。何回かに分けて、投資信託の選び方の基本をご紹介したいと思います。

 

銀行や郵便局でも投資信託が販売されるようになって10年以上が経過し、実際に投資信託を保有している人もかなり多くなってきました。しかし、中には「株式は難しくてよくわからないが、投資信託なら買って持っていればあとは運用会社が全部やってくれる。だから預貯金みたいなもので、成績がよいものを選べば儲かるだろう」というような考え方の人もおられるようです。このような考え方でまとまった資金を投資すると、気がつかないうちにとんでもないリスクを背負い込むことになりかねません。

 

現在運用中の投資信託の数は数千本。いつでも購入できる株式投信の追加型だけでも、三千本以上あるといわれます。これだけ多いと、一般の投資家がその中から自分のニーズや考え方にマッチしたファンドを見つけ出すのは容易ではないでしょう。そこで、自分のニーズに合ったファンドを購入するために、どうしても知っておきたいことやチェックしておきたいポイントについてお話ししてみたいと思います。

 

1)過去の実績(パフォーマンス)だけを見た判断は禁物!

ファンドを選択しようとする場合に、どうしても気になるのが過去の騰落率(パフォーマンス)でしょう。過去の実績だけでファンドを購入するのは、バックミラーだけを見て車を運転しようとするようなものといえます。

 

たとえば前年が、新興国の株式相場が上昇した年ならば、騰落率の上位に並ぶファンドのほとんどが新興国ファンドになるでしょう。つまり、そのファンドの投資対象となるマーケットがその間上昇傾向にあったという場合がほとんどですし、高い運用実績をあげるために必要以上のリスクをとっているようなケースもありえます。他にも、運用の主要担当者が突然会社を辞めたり、運用手法が途中で変えられるという可能性もあるのです。したがって、特に長期保有を考える場合には、過去の実績(リターン)については、あくまでも参考資料のひとつとして捉えた上で、「リスクとリターンのバランスがとれているファンド、トップでなくてもよいから、安定的に平均以上の実績を残しているファンド」を選ぶようにすべきです。

 

(2)へ続く