2012年10月のアーカイブ

(9)シャープレシオを使うときの3つの注意点

 

シャープレシオを使って投信を評価する際には、次の3つの点に注意してください。

 

 

1.同じカテゴリーに属す投信同士で比較しよう

 

株式の投信と債券の投信とを比較したり、株式の中でも先進国株と新興国株の投信、といったように、属すカテゴリーが違う投信をシャープレシオで比較してもあまり意味がありません。

 

できれば中国株ファンドは中国株ファンド同士、日本株ファンドならばバリュー株型同士、中小型株型同士、といったように、できる限り似た投資対象や運用スタイルのファンド同士で比較するようにしましょう。

 

アクティブ運用の投信で良いものを探そうとする場合には、同じカテゴリーのインデックス運用の投信よりもシャープレシオが上回っているものを選ぶというのが基本と考えてください。

 

 

 

2.期間を変えてシャープレシオを比較しよう

 

シャープレシオがマイナスになる期間(リターンがマイナスで損失を被っている場合のことです)で比較してもあまり意味がないため、「1年」「5年」「10年」など、異なる期間のシャープレシオをチェックし、できるだけ長い期間にわたって他よりも数値が上回っている投信を選びましょう。

 

 

 

3.既存ファンドを中心に比較しよう

 

新しく作られたファンドにはそもそも、リスクやリターン、シャープレシオの数値など、実績を示す数字がありませんから、基本的にはシャープレシオは既存ファンドを中心に活用してください。

 

新ファンドを購入した場合には、1年程度が経過した時点でシャープレシオがどうなっているかを必ず確認するようにしましょう。

 

 

 

(10)へ続く

 

 

(8)シャープレシオを使った投信評価③

 

もう一つ、投信Bと同程度のシャープレシオを持つ投信Dがあった場合には、どちらを選ぶべきかを考えてみましょう。

 

 

【ケース3】 シャープレシオが同じくらいの2つの投信を比較する

 

新たに登場した、投信Dの過去5年間のリターンは以下の通りです。

 

<投信Dのリターン>

1年目  + 8%

2年目  - 1%

3年目  + 6%

4年目  + 2%

5年目  +10%

   平均リターン   +5.0%

 

標準偏差を計算すると、 4.0%となりました。

 

 

実践編(8)_1.bmp  ※超低金利であることから、ここでは無リスク利子率をゼロとして計算

 

 

投信Dは、年平均リターン5.0%、年率標準偏差4.0%、シャープレシオは「1.25」となりました。

 

シャープレシオが同じなのですから、投信Bと投信Dは運用効率がほぼ同じと考えられますが、リスク、リターンとも投信Dの方が小さくなっています。

 

つまり、投信Dは得られる収益が少ない分、値動きも比較的小さい投信といえます。

 

一方の投信Bは投信Dに比べ、調子のいいときはより大きな収益が期待できますが、悪いときにはより大きく落ち込むタイプです。

 

 

 

実践編(8)_2.bmpこのような場合には、一般的には、個々の投資家が求める期待リターンとリスク許容度の2点を勘案して投信を選択することになります。

 

高めの収益を目指す人や、マーケットが上昇局面に入ると予想する人であれば投信Bを、リターンは低めでもいいからリスクを抑えて長期的にじっくり運用していこうという人なら投信Dを選ぶということになるでしょう。

 

()へ続く