入門講座32:賢い投資信託の選び方<実践編>(13)

13) シャープレシオを使って投信を分析してみよう(その2)

 

実践編(11)では、モーニングスター社の「ファンドランキング」機能を使い、外債ファンドのシャープレシオを比較しましたが、今回はイボットソン社が提供する「投信まとなび」のサイトにある投信検索機能を利用し、複数のREIT(不動産投資信託)に投資を行うREITファンドを比較してみたいと思います。

 

 

具体的な手順は以下の通りです。

 

 ①     「投信まとなび」のサイトを開く

 

 ②     トップ画面の上部に並んでいる6つのタグの中から「投信検索」を選択

 

 ③     「上級者の方はこちら」の右横にある「GO」ボタンをクリック

 

 ④     「条件指定検索」画面のイボットソン・ファンド分類から「REIT」の項目をすべて選択し、「この条件で検索」ボタンをクリック

 

 ⑤     「検索結果」画面上部にある「全般▼」ボタンをクリックし、「評価」を選択

 

 ⑥     「シャープレシオ」の「5年」ボタンをクリックし、数値が高い順に並べ替える

 

 

過去5年間でシャープレシオの数値が高かったものから順に表示されます。

 

⑥で期間を「3年」、「1年」に変えてみて見比べ、複数の期間で上位に入っていれば、運用が上手だった投信と考えていいでしょう。

 

 

例えば、3月末時点のデータを見ると、過去5年間でシャープレシオがトップ20に入っていた投信のうち、過去3年、過去1年でも登場したものが4銘柄ありました(ラップ口座専用銘柄や確定拠出年金専用銘柄は除いています)。

 

各々の過去5年間の年率リターン、リスク、シャープレシオは以下の通りです。

 

実践編(13)_1.bmp 

投信1)3)は、J-REIT(国内の不動産投信)ファンドで、4)だけが海外のREITファンドでした。

 

4)は、シンガポールのREIT6割、香港のREIT3割ほど投資を行うファンドです。

 

一般的に、海外のREITファンドの方が為替変動の影響を受ける分、J-REITファンドに比べてリスクは大きめになる傾向があります。

 

 

リーマン・ショック以降、大きく落ち込んだ各国のREIT市場は少しずつ回復してきていましたが、昨年末からJ-REIT市場全体が急激に上昇したことから、J-REITファンドがシャープレシオのランキングでは上位を占める結果となっています。

 

 実践編(13)_2.bmp

MPIスタイラスを使いFPアソシエイツが作成

 

 

この背景には、金融緩和により長期金利が低下してきたことに加え、不動産市況の回復への期待感が強く、分配金による安定した収益を求める金融機関や投資信託を経由しての個人の購入が増えていることがあるようです。

 

また、日銀による買い入れの拡大など、政策面での後押しの効果も大きいでしょう。

 

ただし、アベノミクスによるインフレへの期待感が先行して価格を押し上げている面もあり、今後、実際の不動産の価格や賃料が期待通りに上昇していかないような場合には、価格が下落する可能性もあります。

シャープレシオや騰落率などの指数を比較しようとする場合には、期間をずらしてみながら検証するなどの工夫が必要になるでしょう。

 

(14)へ続く