入門講座22:賢い投資信託の選び方<実践編>(3)

(3)投資信託のリターンの計算方法

 

シャープレシオの計算式でも用いられる投資信託のリターンが、どのように計算されているのかを確認しておきましょう。

 

まず投資信託の時価は「基準価額」で表示され、毎日(営業日)算出されています。

 

投資信託のリターンは、この「基準価額」の騰落率、すなわち、2時点間で比較して、何%上昇したか、下落したか、で算出されるのが基本です。

 

ただし、投資信託の場合、「分配金」についても考慮する必要があります。

 

基準価額は、決算時に分配金が支払われるとその分だけ下がりますので、騰落率を計算する期間内に分配金が支払われていれば、これを基準価額にプラスした上で、リターンを計算することになります。

 

分配金を考慮する方法には、次の二つがあります。

 

ひとつは、後の時点の基準価額に単純に足し算する方法です。

 

たとえば、1年前の基準価額10,000円、現在の基準価額10,800円、途中で200円の分配金を支払ったのであれば、現在の基準価額に200円プラスして計算する方法です。

 

   10,800円+200円=11,000

 

   (11,000円÷10,000-1)×10010

 

すなわち、騰落率は10%となります。

 

もうひとつは、分配金を支払わなければ、現在の基準価額がいくらになっているか、を計算する方法です。

 

この方法で算出された基準価額は「分配金再投資後の基準価額」といわれます。

 

この計算は、分配金が支払われた時点の基準価額などの情報が必要となりますので、単純に計算することはできません。

 

どうしても必要な場合は、運用会社が算出した数字を活用することになるでしょう。

 

では、リターンの計算例を紹介しましょう。

 

現在、11,500円の基準価額の投資信託の過去の基準価額が以下の図のようであったとします。(基準価額は既に分配金込みの数値とします)

 

実践編(3)_1.bmp

このときのファンドのリターンは、次のように計算されます。

 

6ヶ月騰落率   11,500÷10,500-1=0.0952・・・  ⇒  約 9.5

 

1年騰落率    11,500÷9,80010.1734・・・   ⇒  約 17.3

 

このような2時点間の騰落率は、それぞれ6ヶ月、1年、3年など期間が異なりますので、1年という期間にそろえて比較することがあります。

 

これを「年率換算リターン」といいます。

 

2時点間の騰落率を年率換算する際には、1年未満の場合は、通常"単利計算"(単純にその年数で割算する)で行われます。

 

例えば6ヶ月騰落率が9.5%の場合、

   9.5%÷0.5年=19.0

と計算し、年率換算リターンは、19.0%となります。

 

1年超の騰落率を年率換算する場合は、"単利計算"と"複利計算"の二つの方法があります。

 

実践編(3)_2.bmp一般的に年率換算リターンは、複利計算で算出されていることが多いようです。

 

 

()へ続く