入門講座⑧:個人投資家の資産運用の王道は「負けにくい運用」(3)

第1の長期保有を前提とした株式投資のスタイルが望ましいというのには理由があります。株式市場では、不健全な企業が退場していく代わりに、健全で成長力のある企業が入場してくる、といった新陳代謝が常に行われています。この新陳代謝が株式市場全体の上昇を下支えしているわけです。そのため成長力のある銘柄や特にその国の経済規模が拡大していく過程では、インデックスファンドを長期保有することによって、短・中期では上げ下げがあるものの、長期的にはキャピタルゲインを得る可能性が高くなるのです。「投資」は、企業に「資金」と「時間」を提供し、その企業の成長度合いに応じて利益を得ることだと考えるとよいでしょう。

 

一方、「投機」は機会(タイミング)に対してお金を「投げる」ことであり、勝者のかげには敗者が必ず存在します。短時間で勝敗が決する「投機」では、①豊富な資金量、②情報収集量、③情報分析力、④運、の4つが勝ち残るために必要な条件といえます。機関投資家や投資信託を運用しているファンドマネジャーなどのプロと比較したとき、個人投資家が対抗できるのは4番目の「運」くらいでしょう。これでは、負ける可能性が高いということに気づかざるを得ません。

 

詳しくは

「投機と投資」①

  及び 

「投機と投資」②参照

 

それでは、個人投資家が負けないためには、どうすればいいのでしょうか。私は「時間」を活用するのが最善と考えています。ファンドマネジャーなどのプロは、投資家から常に期間損益を求められ続け、「時価」との勝負を続けなければなりません。一方、個人投資家は価格が「薄価」以上となり、自分で決めた利益が得られるまで待ち続けることが可能であり、最終的なゴールラインを自分で設定でき、ゴールを達成すれば投資をやめることも自由です。つまり、時間を最も自由に管理できるのは個人投資家なのです。それを武器として最大限有効に使おうとすると、時間をかけて企業の成長を待つという株式投資のスタイルこそが、負けにくい資産運用につながりやすいと考えるからです。

 

(4)へ続く