入門講座①:投資につきもののリスクとは

 今日からブログをスタートすることになりました独立系FP(ファイナンシャル・プランナー)の神戸です。東京都千代田区の神保町という古本屋さんがたくさんある街で、FP専業の会社を経営しています。

 できるだけ長く続けられるように、あまり気張らず、自分のペースで更新していきたいと思っています。どうぞよろしくお願い致します。

 

 さて第1回目は、投資につきものの「リスク」についてお話ししたいと思います。公的機関や、証券会社などからのご依頼で、個人のお客さま向けの投資・運用セミナーでお話しさせて頂くことが多いのですが、投資における「リスク」を「損すること、危ないこと」と思い込んでいる方が大半だということに驚かされます。

 

 セミナーにわざわざ足を運んで参加されるわけですから、少なくとも投資に興味は持っておられるでしょう。それでもまだ実際に投資を行ったことはなく、銀行預金だけという人ならばわからないこともないのですが、株式や投資信託をすでに保有されている場合が多いようです。投資型の商品を窓口で購入していれば、ほとんどの場合、金融機関や証券会社の担当者から、「リスクとはブレること、不確実なことです」いう説明を受けているはずなのです。

 

 一般的に使われる「リスク」と投資における「リスク」では意味が異なります。その意味の違いをわかって頂くために、セミナーでは、こんな質問をしています。

 「タクシーが2台あります。1台は10回乗ると10回事故を起こすタクシー、もう1台は10回乗ると1回事故を起こすタクシーです。どちらがリスクが高いと思いますか?」

 ほとんどの方が10回起こす方と答えます。そりゃそうですね、明らかに危ないのは10回とも事故るタクシーです。ところが、投資の世界では、10回乗って10回とも事故るタクシーのリスクは0(ゼロ)なのです。だって「必ず」事故るわけですよね、決まっていてブレがありません。実は、投資の世界では10回乗って1回事故を起こすタクシーの方がリスクが高いということになるのです。

 

 「リスクとリターンは裏腹だ」というのは、ブレが小さいものはリターン(もうけ)も小さい。高めのリターンが欲しければ、ブレもそこそこ大きくなるということを意味しているわけです。投資の世界では、銀行預金や個人向け国債を「無リスク資産」と呼ぶことがありますが、これはブレ、つまり値動きが無い資産ということで、損をしない資産ということではありません。定期預金を高く売ってもうかったと言う話は聞きませんよね。それは定期預金には値動きがないため、利息収入はありますが、もうけ(リターン)も発生しようがないからです。ブレ(値動き)があるからこそ、安く買って高く売ることでリターンが得られる、これが「リスクとリターンは裏腹」という言葉が意味するところです。

 

 タクシーの話に戻りますが、10回乗ると1回事故が起こるという場合の事故率は10%です。この事故率は、車の整備をキチンとやったり、運転手への指導を行うことで、ゼロにはできないかもしれませんが、ある程度下げていくことが可能でしょう。投資の世界でも、それと同じように、努力することでブレを小さくしていくことが可能です。これを「リスクのコントロール」といいます。